【特集記事】糸と祈りを紡ぐ旅へ。寒河江で味わう「心が整う」モデルツアー体験記

寒河江市で行われた特別モデルツアー「糸と祈りが紡ぐ、アートな時間」に参加してきました。
慈恩寺を舞台にした祈りの世界、佐藤繊維での手仕事、そして季節を映すランチ。
さくらんぼの里としても知られる寒河江の、新しい魅力を再発見できるツアーです。
『体験する旅』という言葉がぴったりの一日で、心がじんわりと整うような時間でした。
目次
1.世界に一つの体験を「糸と祈りが紡ぐ、アートな時間」


まずは、今回のツアーの流れをご紹介します。
寒河江の文化そのものに触れられる一日。
ここからは、実際に体験した様子をご紹介します。
2.ツアーの始まりは寒河江駅
今回のツアーは、朝の澄んだ空気が心地よい寒河江駅からスタートしました。

スタッフの皆さんが温かく迎えてくださり、初めて会う参加者同士でも安心して過ごせる雰囲気でした。

案内を受けたあと、最初の目的地である「本山慈恩寺」へ向けて出発です。
3.静けさに包まれる本山慈恩寺で、祈りの世界に触れる
最初に向かったのは、本山慈恩寺。

朝のひんやりとした空気の中、山門をくぐります。

本堂へ向かう前に、まず線香をあげました。
煙がゆっくりと立ちのぼり、線香の香りが広がります。身も心も清めて、いざ!


いよいよ本堂内へ。
心を落ち着かせながら一歩足を踏み入れると、外とはまた違う静けさが広がっていました。

スタッフの方が仏像を見るポイントを丁寧に説明してくださり、見るだけでは気づけなかった奥深さを感じられました。

仏像の表情や手のカタチ、その背景や歴史に触れるほど興味が深まっていくものですね。


本堂の中には「鋳鉄仏餉鉢(ちゅうてつぶっしょうばち)」という珍しい仏具が納められています。
この鉢に頭を入れると、若返りや物忘れ防止、さらには学業成就や美人になるご利益があるのだとか!

隣の薬師堂にもご案内いただきました。
薄暗い堂内にやさしい光が差し込み、中央に安置された薬師如来さまを前に、自然と背筋が伸びます。
静かに手を合わせていると、日常のあわただしさがふっと遠のいていくような、不思議と心が落ち着く時間でした。


その後は天台大師堂へ。
ここでは、慈恩寺で受け継がれてきた「修験」の文化についてもお話をうかがいました。
9月には1年間かけて奉納されたたくさんの護摩木を一気にお焚き上げし、願いごとを仏さまに届けていただくのだそうです。

この日は、瞑想のあとに参加者一人ひとりが護摩木に願いごとを書き入れる時間も。

護摩木とは、護摩祈祷の際に使われる細長い木で、願いごとや名前を書き入れ、炎で焚き上げることで仏さまに祈りを届けるもの。
古くから行われてきた祈りの形であり、参列者一人ひとりの願いが込められた「祈りのメッセージ」でもあります。
健康や家族のこと、仕事のことなど心の中でそっと願いを込めながら、丁寧に文字をしたためていきます。

今回書いた護摩木は、次回9月に行われる「紫燈護摩会」でお焚き上げしていただけるとのこと。
自分たちの願いが、古くから受け継がれてきた大切な行事の中で祈り上げられると思うと、より一層ありがたさが増していきますね。
お焚き上げに合わせて訪れても良いかもしれません。

この頃には参加者同士の距離もすっかり縮まっていました。
境内で見つけた景色の話をしたり、「どこ歩いた?」なんて盛り上がったり!
同じ時間を共有したことで、ちょっとした『仲間感』が生まれた瞬間でした。


4.佐藤繊維で「糸が生まれる瞬間」を体験
次に向かったのは、世界中から注目されるニットメーカー「佐藤繊維」。

まずは佐藤繊維の皆さんから、糸ができるまでの流れを教えていただきました。

原料の羊毛が、どんな工程を経て、あの美しい糸になるのか…想像以上に丁寧で奥深い!

実物を触らせていただいたり、目の前で糸が紡がれていく様子を見たりして、まさに『手仕事でできあがる瞬間』を肌で感じられました。



次は、工場内の見学です。
工場に一歩足を踏み入れると、ふわっと広がるウールの香りと、ところどころから聞こえる機械音。
ここでしか味わえない『ものづくりの現場』の空気に、自然と胸が高鳴ります。

出来上がったニットや刺繍を手で触ったり、従業員さんの作業の様子を目の前で見たりして、佐藤繊維の世界を五感で存分に体験できました。



そしていよいよ、糸紡ぎのワークショップへ。

羊毛から自分の手で1本の糸を紡いでいく体験です。

スピンドルを使って、くるくると糸を紡いでいくのですが…これがなかなか難しい!
コツをつかむまで何度も挑戦して、だんだん手になじんでくる感覚がたまらなく楽しかったです。
気づいたら無言に…糸紡ぎに没頭してしまいました。


そしてついに完成!
途中で糸が切れたり、太さにばらつきが出たりするハプニングもありましたが、どれも味のある素敵な糸になりました。


5.GEAでのランチ&ギャラリー見学
お待ちかねのランチタイムは、佐藤繊維さんの工場隣の「GEA0053」でいただきました。

地元の酒蔵を譲り受け、工場として使用していた築100年以上の石蔵をリノベーションした建物です。


ランチは、地元の食材をふんだんに使ったお洒落なイタリアン。
お好みのメニューを選びます。

見た目も華やかでSNS映えする一品も!
色とりどりの食材が並ぶプレートは味はもちろん、見た目の美しさも抜群でした。



おいしさに思わず笑顔がこぼれ、心までほっと和むひとときになりました。

食後はライフスタイルエリアのギャラリーを見学。
ファッションやグルメ、ライフスタイルが融合した空間には、先ほど体験した“糸”の世界がまた違った角度で広がっていて、見ているだけで楽しい気分に!

糸や手仕事に直接触れたことで、ギャラリーに並ぶ一品一品への想いもぐっと身近に感じられました。


6.心がほどける、特別な一日に

慈恩寺で祈りの世界に触れ、佐藤繊維で糸が生まれる瞬間を体験し、GEAで季節を味わうランチとギャラリー見学までを堪能した今回のツアー。
寒河江市の『文化・手仕事・食』がぎゅっと詰まったプランは、ただ見てまわるだけではなく、五感で感じ、心がゆっくり整っていくような時間でした。
寒河江でしか味わえない『糸と祈りの旅』。
この特別なひとときを、ぜひ皆さんも体験してみてはいかがでしょうか?
